潰瘍性大腸炎の症状・検査・治療

潰瘍性大腸炎(UC)とは

潰瘍性大腸炎(UC)とは大腸の粘膜に炎症が起こる病気で、下痢や血便などのさまざまな症状が現れ、症状が改善する寛解期と再び悪化する再燃期を繰り返します。炎症により、びらん(ただれ)や潰瘍を起こします。粘膜、粘膜下層、筋膜、漿膜という大腸の組織のうち、病変は表面に近い粘膜と粘膜下層に生じ、筋膜まで達することはほとんどありません。病変は、直腸から下行結腸、横行結腸、上行結腸と連続的に進行していきます。
はっきりとした原因がまだわかっていないため、完治に導く治療法がなく難病指定されています。ただし、寛解期にも適切な治療を続けていくことで良い状態を長く保つ治療は可能です。
症状などはクローン病と似ていますが、クローン病の場合は食事管理を怠ると悪化しやすいなど治療法が異なる部分がありますので、疑わしい症状があった場合には専門医の診断と治療を受けることが特に重要です。

潰瘍性大腸炎の主な症状

主な症状には下痢や軟便という便通異常がありますが、早期には血便だけが起こることもよくあります。
進行して炎症が広範囲になると下痢や軟便の起こるケースが多くなり、腹痛などの症状を繰り返し起こすようになっていきます。強い下痢を起こして1日に10~20回もトイレに通うケースもあります。
さらに進行して炎症の範囲が広がると、体重減少、発熱、全身倦怠感、食欲不振などの症状も現れます。

潰瘍性大腸炎の診察と検査

問診

症状の内容、症状が現れた時期や経過、既往症や服用している薬などについてうかがいます。

便検査

似た症状を起こす細菌などによる感染症の可能性がないかを調べます。また潜血検査で目には見えない微量の出血がないかも調べることができます。

血液検査

炎症が強くなると数値が上昇するCRP(C反応性蛋白)・赤沈(赤血球沈降速度)・白血球数を確認します。なお、白血球数が少ない場合は薬剤の影響の可能性もあります。アルブミンによって栄養状態を判定したり、ヘモグロビンにより大腸からの出血による貧血がないかを確かめます。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査粘膜の病変を直接観察して炎症や潰瘍の形態、病変の範囲などを調べ、組織を採取して確定診断が可能な検査です。症状がない寛解期でも適切な治療のために定期的な内視鏡検査が必要です。潰瘍性大腸炎により10年以上炎症が続くとがん化するリスクが高くなるため定期的な内視鏡検査を必ず受けるようにしてください。なお、当院では楽に受けていただける内視鏡検査を行っており、検査前に大量の洗腸剤を服用する必要がない大腸内視鏡検査も可能です。

大腸造影検査

病変の範囲や大腸の状態を把握するために行うことがあります。肛門から造影剤を注入してX線撮影を行います。

潰瘍性大腸炎の治療

病変の範囲や状態、重症度、ライフスタイルなどに合わせて治療を行っていきます。完治に導く治療法はありませんが、炎症を軽減する効果の高い薬剤があるため、状態を改善して寛解に導きます。ただし、寛解期を維持し良い状態を保つためには寛解期の適切な治療が不可欠です。また、潰瘍性大腸炎について正しい知識を持ち、食生活をはじめとする生活習慣の見直しも重要になってきます。
薬物療法で効果が現れない場合には、手術が必要になることもあります。手術の際には生活の質を守るために肛門機能の温存などを十分に考慮する必要があります。

薬物療法

5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤

経口剤と坐剤のサラゾスルファピリジン、経口剤と注腸剤や坐剤のメサラジンなどを用います。病変部に直接作用して炎症を抑制します。腸内で有効に働くよう、pHの変化、腸内細菌による分解、徐々に溶けるなどの工夫がされています。中等度までのケースで主に用いられ、再燃期だけでなく寛解期を保つためにも役立ちます。坐剤や注腸剤は肛門に近い直腸やS状結腸に強い炎症がある場合に用いられます。

副腎皮質ステロイド

経口剤・注腸剤・注射剤のプレドニゾロン、坐剤・注腸剤のベタメタゾンなどを用います。強力な炎症抑制作用を持っていますが、症状が改善してきたら徐々に減薬し、他の薬剤に切り替えます。中等症から重症のケースで迅速な回復が必要な場合に用いられます。また、軽症から中等症の場合でも、5-ASA製剤による効果が認められない場合や、発熱などの全身症状がある場合には用いられることがあります。再燃の予防効果はないため、急性期に使用します。

免疫抑制剤

経口剤のアザチオプリンやタクロリムスなどを用います。過剰な免疫反応を抑制する効果が期待できます。アザチオプリンはステロイドの減薬の際に再燃を起こすケースで用いられ、即効性がなく、効果が現れるまでに時間がかかります。タクロリムスは過剰な免疫反応を強力に抑制するため、ステロイド治療を1~2週間続けても効果がない重症のケースに用いられます。

抗TNFα抗体製剤

注射剤のインフリキシマブとアダリブマブなどを用います。他の治療法では効果が現れない場合に高い効果が期待できる治療法です。潰瘍性大腸炎の炎症に直接関与するTNFαの働きを抑制し、TNFαを作り出す細胞に作用して過剰なTNFαを産出を抑制する効果があります。

顆粒球吸着療法

血球成分吸着除去療法

潰瘍性大腸炎は活性化した白血球が関与していると考えられているため、血液から活性化した白血球を除去して炎症を抑える治療法です。細菌感染の合併が疑われるなどの場合でも行うことができる治療法です。
腕の静脈から血液を体外循環装置に通し、白血球を吸着・除去して体内に戻します。白血球吸着除去療法(LCAP 顆粒球・単球・リンパ球・血小板を除去)、血球吸着除去療法(LCAP 顆粒球・単球を主に除去)があります。

手術療法

ほとんどの場合、薬物療法でコントロールが可能ですが、場合によって外科手術が必要になるケースもあります。
大量出血や穿孔が起きている、中毒性巨大結腸症、がん化やその疑いがある、薬物療法などの保存療法で改善しない場合は手術が必要になることがあります。

外科手術は大腸の全摘出となりますが、肛門を温存する手術が主に行われています。これは小腸に便をためる袋(回腸嚢)を作って肛門につなぐ手法で、人工肛門を設置する方法に比べて生活の質が改善できます。ただし、高齢の場合や他の病気がある場合などでは人工肛門を設置する手法が適しているケースもあります。
肛門を温存する手術には、直腸の一部をわずかに残す回腸嚢肛門管吻合術と、回腸と肛門を直接つなぐ回腸嚢肛門吻合術、直腸を残す回腸直腸吻合術があります。直腸を残す手術ではそこに潰瘍性大腸炎の炎症が起こる可能性があるため、状態をしっかり見極め、慎重に決める必要があります。

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